福祉と情報

日本の福祉行政の変遷

戦後日本の福祉行政はずっと、行政主導で措置の対象者やその内容を判断して、
保護、救済を行う「措置制度」がとられていました。
しかし、その制度は、福祉サービスの提供主体を制限したもので、
福祉を受ける側はほとんど意見をすることや希望を言うことができず、本当に満足のいくサービスとは程遠いものでした。
それだけでなく、夫婦共働きなど、日本人の生活が変わっていくことで、福祉のニーズも多様化していきました。
この流れのなかで、措置制度にも限界が見えはじめていました。

そんな中、2000年に旧社会福祉事業法が抜本的に改正されました。
この改正により、従来の措置制度から、福祉サービスを受ける側が自ら選択できる、
契約による「利用制度」が確立されていきました。
この改正により、福祉サービスは多元化や市場化が進んでいくこととなりました。
たとえば、福祉サービスの選択肢が拡大し、そのサービス一つ一つの質も量も高まりました。
また、自治体主体で福祉政策がつくられるようになり、地域福祉が拡充されるようになっていきました。

参考社会福祉の制度について

日本の社会福祉の制度は、戦後間もない時期において、戦争被災者、引揚者などが急増する中で、
生活困窮者対策を中心として出発し、その後の経済成長とともに発展を遂げてきました。

昭和21(1946)年の(旧)生活保護法、昭和22(1947)年の児童福祉法、
昭和24(1949)年の身体障害者福祉法など、福祉サービスの具体的な仕組みや内容は各法律によって規定され、
それぞれ個別に充実、発展が図られてきました。

現在では、これらの法律のほか、知的障害者福祉法、老人福祉法、母子及び寡婦福祉法といった法律や、
介護保険法や老人保健法等によってさまざまな福祉サービスがおこなわれています。

一方、今日では、少子・高齢化の進展、家庭機能の変化、障害者の自立と社会参加の進展にともなって、
人々が有する福祉課題、ニーズも実に多様なものとなり、社会福祉に対する意識も大きく様変わりしています。
また、昨今の社会・経済状況を背景に、さまざまな改革が進行していることもあって
社会福祉の各制度についても、かつてのような限られた人たちの保護・救済にとどまらず、
国民全体を対象として、その生活の安定を支える役割を果たしていくことが期待されるようになっています。

このような、社会・経済の変化に対応して、平成12(2000)年には戦後50年の間、
社会福祉事業、社会福祉法人、福祉事務所などに関する基本的な枠組みを規定していた社会福祉事業法が
「社会福祉法」に改正・改称され、個人の自立支援、利用者による選択の尊重、サービスの効率化などを柱とした新しい社会福祉の方向性が示されました。

また、近年地域においては、貧困や社会的孤立、虐待、DVなど、
現状の社会福祉制度では十分に対応しきれない生活課題・福祉課題が生じています。
これらの課題は、複雑かつ複合的な要因を背景としていることもあり、
制度の枠組みを超えた総合的な相談支援体制の構築等が必要となっています。

こうした生活困窮者の支援体制の強化を図るべく、
現在、国において、「生活困窮者自立支援法」制定に向けた取り組みが進められています。

[参考・引用] 全国社会福祉協議会より http://www.shakyo.or.jp/seido/